乗り換える前に、原因を切り分ける
「光回線が遅いから乗り換えたい」という相談は多いのですが、原因が回線側にないと、乗り換えても改善しません。工事費と解約金を払っても、同じ速度のままです。
原因は次の順番で切り分けると効率的です。上から、自力で直せる可能性が高い順に並んでいます。
- 測定のしかた
- Wi-Fiの設定・置き場所
- ルーターの性能
- LANケーブルの規格
- 建物の配線方式
- 時間帯による混雑
- 契約プラン
まずは、そもそも遅いのかを確認する
用途別に必要な速度の目安
| 使い方 | 必要な速度の目安 |
|---|---|
| 動画配信(フルHD) | 5Mbps以上(Netflixの推奨) |
| 動画配信(4K) | 15Mbps以上(Netflixの推奨) |
| ビデオ会議(1080p・グループ通話) | 上り3.8Mbps/下り3.0Mbps(Zoomの推奨) |
| オンラインゲーム | 速度よりPing値(応答速度) |
1Gbps契約で実効300Mbps出ていれば、上の用途はすべて満たせます。「1Gbpsのはずが300Mbpsしか出ない」のは異常ではありません。光回線の速度はベストエフォート(最大値を保証しない方式)で、実効値が公称値を大きく下回るのは正常です。
体感が悪いのに数値が出ている場合は、速度ではなくPing値やパケットロスが原因のこともあります。
測り方で数値が変わる
- 有線(LANケーブル)で測る:無線のままだと、遅いのが回線かWi-Fiか判別できません
- パソコンで測る:スマホの性能が上限になっている場合があります
- 時間帯を変えて数回測る:夜だけ遅いなら混雑が原因の可能性があります
原因1:Wi-Fiの設定と置き場所
有線で速く、Wi-Fiで遅いなら、原因はWi-Fi側です。
- 5GHz帯を使う:2.4GHz帯は電子レンジやBluetoothと干渉します。速度重視なら5GHz帯(SSIDに「5G」「-A」などが付いていることが多い)へ
- ルーターを部屋の中央・高い位置に置く:床置き、棚の裏、金属や水槽の近くは避ける
- 接続台数を減らす:使っていない機器のWi-Fiを切る
原因2:ルーターの性能と規格
意外に多い原因です。
- Wi-Fiの規格が古い:Wi-Fi 4(11n)世代のルーターでは、1Gbpsの契約を活かせません。Wi-Fi 5(11ac)以降、できればWi-Fi 6(11ax)へ
- ルーターが古い/熱を持っている:5年以上使っているなら買い替えを検討。まず再起動して改善するか試す
- 10ギガ契約なのに1Gbps対応ルーター:10ギガの契約は、対応ルーターがないと1Gbpsで頭打ちになります
再起動は最初に試す価値があります。ONU(またはVDSLモデム)とルーターの電源を抜き、1分待ってから、ONU → ルーターの順に入れ直してください。
原因3:LANケーブルの規格
古いLANケーブルが上限を作っていることがあります。
| カテゴリ | 対応速度 |
|---|---|
| CAT5 | 100Mbps |
| CAT5e | 1Gbps |
| CAT6 | 1Gbps |
| CAT6A | 10Gbps |
CAT5のケーブルが1本混じっているだけで、100Mbpsが上限になります。ケーブルの側面に「CAT5e」「CAT6」などの印字があるので確認してください。10ギガ契約ならCAT6A以上が必要です。
原因4:建物の配線方式(マンション)
ここが乗り換えても解決しない代表例です。
マンションの共用部から部屋までの配線が電話線(VDSL方式)の場合、概ね100Mbpsが上限になります。どの事業者と契約しても、1ギガでも10ギガでも変わりません。
判別のしかたは簡単です。
- 設置されているのが ONU → 光配線方式(速度は出るはず)
- 設置されているのが VDSLモデム → VDSL方式(100Mbps前後が上限)
VDSL方式で速度が必要なら、選択肢は2つです。
- 戸建てタイプを自分の部屋に個別に引き込む(管理会社の許可が必要)
- ホームルーターに切り替える(電波の入りがよければVDSLより速いことがある)
詳しくはマンションで光回線を引くときの注意点をご覧ください。
ドコモ home 5G
工事なしのホームルーター。月額5,280円。データ量は無制限だが、混雑する時間帯・エリアや、当日を含む直近3日間の利用が多いときは遅くなることがある
原因5:時間帯による混雑
夜だけ遅いなら、回線の混雑が原因の可能性があります。ここで関係するのが回線の種類です。
| 種類 | サービス | 設備 |
|---|---|---|
| フレッツ光回線(光コラボ) | ドコモ光、SoftBank 光 など | NTTのフレッツ光の設備を使う |
| 独自回線 | NURO 光、auひかり | フレッツ光とは別の設備を使う |
この原因なら、乗り換えで改善する可能性があります。光コラボを使っていて夜だけ遅いなら、設備の違う独自回線への乗り換えは検討する価値があります。
なお光コラボの場合、プロバイダが対応していれば IPv6(IPoE)接続 に切り替えることで混雑を回避できることがあります。契約先のマイページで、IPv6が有効になっているか確認してみてください。対応状況と料金は契約先によって違いますが、乗り換えるより先に試す価値があります。
NURO 光
現行H/Mは3年自動更新。ホームゲートウェイ料金・工事費残債を確認
原因6:契約プランそのもの
ここまで確認して、それでも遅い場合に初めて契約の見直しです。
- 1ギガ契約で、機器も配線も問題なく、夜も昼も遅い → 回線側の問題の可能性
- 10ギガにすれば速くなる? → ルーター・ケーブル・パソコン側がすべて10GbE対応でなければ意味がありません
10ギガプランと1ギガの差額は、ドコモ光・SoftBank 光の2年契約で月660〜2,200円です。環境が整っていなければ支払うだけ無駄になります。
切り分けの早見表
| 症状 | 疑うべき原因 | 乗り換えで直る? |
|---|---|---|
| 有線は速いがWi-Fiが遅い | Wi-Fi設定・ルーター | ✗ |
| どの機器でも100Mbps前後で頭打ち | VDSL方式・CAT5ケーブル | ✗(VDSLなら回線を変えても同じ) |
| 夜だけ遅い | 回線の混雑 | ○(独自回線・IPv6で改善しうる) |
| 特定のサイト・サービスだけ遅い | 相手側の問題 | ✗ |
| 突然まったくつながらない | 機器の不調・障害 | ✗(まず再起動と障害情報の確認) |
それでも乗り換えるなら
原因が回線側にあると判断できたら、乗り換えを検討します。その際は次の点を確認してください。
各社の月額比較は光回線おすすめ比較にまとめています。
まとめ
- まずは有線で・パソコンで・複数の時間帯で測定する
- 1Gbps契約で実効300Mbpsは正常。ベストエフォートなので公称値には届かない
- Wi-Fi設定・ルーター・LANケーブルの3つで直ることが多い
- VDSL方式は乗り換えても直らない。100Mbps前後が構造上の上限
- 夜だけ遅いなら乗り換えで改善しうる。まずIPv6接続を試す
※ 本記事の料金は2026年10月17日時点で各社公式サイトに掲載されていた税込金額です。申し込み前に必ず公式サイトでご確認ください。