乗り換える前に、原因を切り分ける

「光回線が遅いから乗り換えたい」という相談は多いのですが、原因が回線側にないと、乗り換えても改善しません。工事費と解約金を払っても、同じ速度のままです。

原因は次の順番で切り分けると効率的です。上から、自力で直せる可能性が高い順に並んでいます。

  1. 測定のしかた
  2. Wi-Fiの設定・置き場所
  3. ルーターの性能
  4. LANケーブルの規格
  5. 建物の配線方式
  6. 時間帯による混雑
  7. 契約プラン

まずは、そもそも遅いのかを確認する

用途別に必要な速度の目安

使い方必要な速度の目安
動画配信(フルHD)5Mbps以上(Netflixの推奨)
動画配信(4K)15Mbps以上(Netflixの推奨)
ビデオ会議(1080p・グループ通話)上り3.8Mbps/下り3.0Mbps(Zoomの推奨)
オンラインゲーム速度よりPing値(応答速度)

1Gbps契約で実効300Mbps出ていれば、上の用途はすべて満たせます。「1Gbpsのはずが300Mbpsしか出ない」のは異常ではありません。光回線の速度はベストエフォート(最大値を保証しない方式)で、実効値が公称値を大きく下回るのは正常です。

体感が悪いのに数値が出ている場合は、速度ではなくPing値やパケットロスが原因のこともあります。

測り方で数値が変わる

  • 有線(LANケーブル)で測る:無線のままだと、遅いのが回線かWi-Fiか判別できません
  • パソコンで測る:スマホの性能が上限になっている場合があります
  • 時間帯を変えて数回測る:夜だけ遅いなら混雑が原因の可能性があります

原因1:Wi-Fiの設定と置き場所

有線で速く、Wi-Fiで遅いなら、原因はWi-Fi側です。

  • 5GHz帯を使う:2.4GHz帯は電子レンジやBluetoothと干渉します。速度重視なら5GHz帯(SSIDに「5G」「-A」などが付いていることが多い)へ
  • ルーターを部屋の中央・高い位置に置く:床置き、棚の裏、金属や水槽の近くは避ける
  • 接続台数を減らす:使っていない機器のWi-Fiを切る

原因2:ルーターの性能と規格

意外に多い原因です。

  • Wi-Fiの規格が古い:Wi-Fi 4(11n)世代のルーターでは、1Gbpsの契約を活かせません。Wi-Fi 5(11ac)以降、できればWi-Fi 6(11ax)へ
  • ルーターが古い/熱を持っている:5年以上使っているなら買い替えを検討。まず再起動して改善するか試す
  • 10ギガ契約なのに1Gbps対応ルーター:10ギガの契約は、対応ルーターがないと1Gbpsで頭打ちになります

再起動は最初に試す価値があります。ONU(またはVDSLモデム)とルーターの電源を抜き、1分待ってから、ONU → ルーターの順に入れ直してください。

原因3:LANケーブルの規格

古いLANケーブルが上限を作っていることがあります。

カテゴリ対応速度
CAT5100Mbps
CAT5e1Gbps
CAT61Gbps
CAT6A10Gbps

CAT5のケーブルが1本混じっているだけで、100Mbpsが上限になります。ケーブルの側面に「CAT5e」「CAT6」などの印字があるので確認してください。10ギガ契約ならCAT6A以上が必要です。

原因4:建物の配線方式(マンション)

ここが乗り換えても解決しない代表例です。

マンションの共用部から部屋までの配線が電話線(VDSL方式)の場合、概ね100Mbpsが上限になります。どの事業者と契約しても、1ギガでも10ギガでも変わりません。

判別のしかたは簡単です。

  • 設置されているのが ONU → 光配線方式(速度は出るはず)
  • 設置されているのが VDSLモデム → VDSL方式(100Mbps前後が上限)

VDSL方式で速度が必要なら、選択肢は2つです。

  • 戸建てタイプを自分の部屋に個別に引き込む(管理会社の許可が必要)
  • ホームルーターに切り替える(電波の入りがよければVDSLより速いことがある)

詳しくはマンションで光回線を引くときの注意点をご覧ください。

ドコモ home 5G

工事なしのホームルーター。月額5,280円。データ量は無制限だが、混雑する時間帯・エリアや、当日を含む直近3日間の利用が多いときは遅くなることがある

公式サイトへ

原因5:時間帯による混雑

夜だけ遅いなら、回線の混雑が原因の可能性があります。ここで関係するのが回線の種類です。

種類サービス設備
フレッツ光回線(光コラボ)ドコモ光、SoftBank 光 などNTTのフレッツ光の設備を使う
独自回線NURO 光、auひかりフレッツ光とは別の設備を使う

この原因なら、乗り換えで改善する可能性があります。光コラボを使っていて夜だけ遅いなら、設備の違う独自回線への乗り換えは検討する価値があります。

なお光コラボの場合、プロバイダが対応していれば IPv6(IPoE)接続 に切り替えることで混雑を回避できることがあります。契約先のマイページで、IPv6が有効になっているか確認してみてください。対応状況と料金は契約先によって違いますが、乗り換えるより先に試す価値があります。

NURO 光

現行H/Mは3年自動更新。ホームゲートウェイ料金・工事費残債を確認

公式サイトへ

原因6:契約プランそのもの

ここまで確認して、それでも遅い場合に初めて契約の見直しです。

  • 1ギガ契約で、機器も配線も問題なく、夜も昼も遅い → 回線側の問題の可能性
  • 10ギガにすれば速くなる? → ルーター・ケーブル・パソコン側がすべて10GbE対応でなければ意味がありません

10ギガプランと1ギガの差額は、ドコモ光・SoftBank 光の2年契約で月660〜2,200円です。環境が整っていなければ支払うだけ無駄になります。

切り分けの早見表

症状疑うべき原因乗り換えで直る?
有線は速いがWi-Fiが遅いWi-Fi設定・ルーター✗
どの機器でも100Mbps前後で頭打ちVDSL方式・CAT5ケーブル✗(VDSLなら回線を変えても同じ)
夜だけ遅い回線の混雑○(独自回線・IPv6で改善しうる)
特定のサイト・サービスだけ遅い相手側の問題✗
突然まったくつながらない機器の不調・障害✗(まず再起動と障害情報の確認)

それでも乗り換えるなら

原因が回線側にあると判断できたら、乗り換えを検討します。その際は次の点を確認してください。

  • 独自回線が使えるか(NURO 光・auひかり):フレッツ光とは設備が別
  • スマホのセット割(詳しくはこちら):主な対象プランで月1,100〜1,650円
  • 工事費の残債と解約金(乗り換えガイド)

各社の月額比較は光回線おすすめ比較にまとめています。

まとめ

  • まずは有線で・パソコンで・複数の時間帯で測定する
  • 1Gbps契約で実効300Mbpsは正常。ベストエフォートなので公称値には届かない
  • Wi-Fi設定・ルーター・LANケーブルの3つで直ることが多い
  • VDSL方式は乗り換えても直らない。100Mbps前後が構造上の上限
  • 夜だけ遅いなら乗り換えで改善しうる。まずIPv6接続を試す

※ 本記事の料金は2026年10月17日時点で各社公式サイトに掲載されていた税込金額です。申し込み前に必ず公式サイトでご確認ください。